月と太陽

「キッチンのお茶とか届かないよリリ。」

「いや、それは椅子か何かに乗れば届くでしょ!」

「あと、彼氏とか出来ないんじゃなーい?」

「ああ!確かにね!間違って彼氏が出来たとしても気持ち悪がられて捨てられそう!あはは!」

と、笑いながらサイドミラーに目を戻した瞬間、

「ぎゃっ!!!」

と可那は飛び上がった。
そしてそこに立っていたリリが

「うん、『間違って彼氏が出来たとしても』あたりから聞いてたよ。」

と、ニコニコしながらBMWのキーを差し出した。
可那がどもりながらありがとうとキーを受け取り、リリは後部席に乗り込んだ。

「さ、行きましょ可那ちゃん。」

大きなワゴン車は幅すれすれの道を抜けると青山通りを左折した。

「あ、萌ちゃんそっちのチューニングお願い。周波数はね…」

2人は機材車の『機材』の部分でそれを起動させ、セッティングし始めた。

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