FLOWER PRINCESS



「……そっか。

1つだけ、言っていい?」

どこか悲しそうな顔をしながらジゼルが言う。

「うん。」

ミラが頷くと、

「幸運を運ぶ花を、忘れないで。」

ジゼルはそう言った。

風が吹き、
丘の草原が揺れる。

「幸運の、花……。」

花言葉が''幸運''とか''幸せ''っていう花はたくさんある。

だから、ジゼルが言っていることがあまり理解できなかった。

「いいよ。ミラが思い出してくれるまで、考えなくていいから。

きっとミラは思い出してくれるよ。

それがたとえ俺を愛してくれる前でも、後でもね。」

微笑むジゼル。
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