FLOWER PRINCESS


「カイラとおしゃべりしていた方が楽しいわ。」

カイラというのは、オリヴァン王国に住む街の少女。

爵位はないが、母の友人の娘として、

小さい頃からの仲のよい友人だ。

「もう、抜け出してしまってもかまわないかしら?」

お姉さまたちには黙って、

抜け出すことを決意したミラ。

バルコニーの階段を降りて、門へと向かう。

途中、誰かに見られてはいないか振り返る。

振り返ると、ホールで優雅に踊っている女性達。

ワルツの音が嫌でも耳に入ってくる。

振り返ったことを後悔しながら早足で進むミラ。

ヒールとドレスが邪魔で仕方がない。

噴水の横を通る時にみつけた一輪のバラ。

「まぁ、ステキなバラね。でも、1人だけで咲いているなんて寂しいでしょう。」

ミラは、花を心から愛している。

つねに、ポーチの中にも少量だが花の種を揃えている。


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