恋の病
それぞれの雨の日
朝降った雨は一向に止むことはなくて、授業が終わった五時間目までも降り続いていた。
サァ―――――サァ―――
少し勢いが弱まった気がするけど、まるで教室を包み込んでしまった様な雨音は煩くもなくてただ眠たくさせた。
程よく暖房がきいた教室。
窓ガラスには白く靄がかかってる。
あたしは小さな森のように教室の窓一杯に広がった風景を眺める。
相談って何?と朝、教室に入って一番に真由に聞いてみたけれど、今はいいや、放課後が良いと言われた。どういう話なんだろう。
気になりながらも、日に日に迫ってくるテストに告白にと、焦りと脱力感ばかりが頭と心を占めてあまり考えられなかった。
あたしは勉強、嫌いだ。教科書を開くよりケータイが良い。ハマってるケータイ小説を読みたい。
そのせいで勉強に身が入っていない。それだけでも最悪なのに、それにやらなきゃならない事は他にもある。
今野君にまだ返事言ってない。
あれからどんだけ経った?
遅すぎる。早く伝えなきゃ。
でも、気持ちはちゃんと決まってない。
真面目に言ってくれたんだし、やっぱりいい加減にはしたくないって思う。
だけどこんな事初めてだし……
付き合うってことがどういう事なのか想像出来ない。
ふと溜め息が出た。