屋敷の主
ジェイスは「少ない荷物ですね…」と苦笑いしながら、荷物を積み終えた。
ジェイスは馬に跨がる。そして、リシェナを手招きして、後ろに乗せる。
「教会のお子さんたちはいいのですか?」
ジェイスは振り向いてリシェナを見た。
あまりの顔の近さに、リシェナは鼓動が早くなった。
「えぇ…また、必ず会いに来ますから」
頷いて前を向いて馬を走らせるジェイスは一言つぶやいた。
「会いたかったら、いつでも会っていい。私は止めませんから」
風の中、リシェナはその言葉に涙がこぼれ落ちた。
あなたは、なんて優しい王子様なの。