屋敷の主

ジェイスは「少ない荷物ですね…」と苦笑いしながら、荷物を積み終えた。

ジェイスは馬に跨がる。そして、リシェナを手招きして、後ろに乗せる。
「教会のお子さんたちはいいのですか?」

ジェイスは振り向いてリシェナを見た。

あまりの顔の近さに、リシェナは鼓動が早くなった。

「えぇ…また、必ず会いに来ますから」

頷いて前を向いて馬を走らせるジェイスは一言つぶやいた。

「会いたかったら、いつでも会っていい。私は止めませんから」

風の中、リシェナはその言葉に涙がこぼれ落ちた。

あなたは、なんて優しい王子様なの。
< 33 / 70 >

この作品をシェア

pagetop