側にいて…

本当の気持ち

下校時間
よし。帰ろう。私はカバンを持ち廊下に出た。「よ!」私の前には空雅君が立っていた。「あぁ。どうしたの?」「今日も兄貴が狙ってると思うし家まで送る」なんだか空雅君の優しさが私を苦しめた。「私…1人で帰れるから大丈夫」私は逃げるように歩きだした。「大丈夫じゃねーだろ?兄貴がまた彩夏に何かしたらやべぇーし」空雅君は後についてくる。「だから大丈夫だって。別に先輩がいても無視するし。」今日のキスの事が頭に浮かんでくる。「送るって」「もぉーしつこい!別に大丈夫って言ってるでしょ!?しかも空雅君には関係のない事じゃん」あ…また空雅君に当たってしまった。こんなはずじゃないのに。また最低な女になっちゃった。「あぁー関係ねぇーよな。狙われてんのにヘラヘラしやがって。無神経女、勝手にしろ」空雅君は舌打ちをして私をにらんだ。完璧に怒らしてしまった私。無神経女って言われたって別に廉君の事キライじゃないもん。今は会いたいかも…。しかも空雅君はなんでそんなに気にするの?意味分かんない。兄弟の事だから?それとも本当に私の事心配してくれてるの?でも私の足は空雅君の方へは進まない。気がつけば校門で廉君を待っていた。廉君の姿が見えた。私は目線をそらした。「おぉー彩夏ちゃん。待っててくれたんだぁ?」廉君はこの時は小悪魔だった。「べ、別に待ってたわけじゃないよ」「また素直じゃねぇーなぁ。俺 うれしいぜ?」そう言って私の手を引いた。「廉!どこ行くんだよ」「あ?今からデート。ごめんな。先帰っててくんねぇーか?」廉君は私の腕をグイグイ引いた。「廉君…腕痛い…」私はおそるおそる顔をあげた。「おぉー。わりぃ」廉君は腕を離した。でも離したらぬくもりがなくなって寂しくなる。「どこ行くの?」「適当。彩夏ちゃんどこ行きたい?」「私は…うーん。どこでもいいよ」私デート引き受けちゃってるし。「俺の家来る?」「廉君の家?」初デートで家?しかも付き合ってるわけじゃないのに…。でも1番嫌な理由は空雅君がいるから。「よし!決まりな」また強引に決められた。あっという間に家に着いた。廉君の家はふつうの家より大きい。「ここが俺の家。」
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