執事と共に聖夜を。
「これが、パパの残したもの……?」
――シラヤナギと全く同じ台詞が、数分前に恵理夜の口から洩れていた。
絶望に似た感情がその胸を支配していた。
「祈りは、所詮は偽善でしかないのかな……」
箱を持つ手が震え出した。
「お嬢様」
春樹の手が、すっかり血の気が失せてしまったその手を包み込んでいた。
「よくご覧ください」
春樹は箱の中のものを手に取った。
しかしそれが何かははっきりとわかる。
「小さい銃、でしょ」
平和を祈った父の残したものだ。
涙で曇った瞳でも、それは揺るぎない事実としてその目に映った。