新パラレルワールド参加作品=The shadows=天才浅海ユウと凡才月星大豆の奇跡的コラボ[企画]
迷いながら地下モールへと続く階段を降りた。
明るいライトで光ったテントに、中に居るフウカのシルエットが写っている。
今すぐにでも抱き締めたい。
彼女に出会ってわずか数日しか経っていないのに、フウカの笑顔や泣き顔で心が占領されてしまった。
───そうだ。彼女を守るのはもうシンの役目じゃない。
フウカを元の世界に連れ帰って、俺が彼女の旦那と対決すれば済むことじゃないか───
「フウカ……」
彼女の名前を呼ぶのと同時に頭に激痛が走った。
「う……つぅッ……!」
バランスを失った肩から、アクリルケースを吊るしていたバンドが外れ、レンガをはめ込んだ床に転がった。
───嘘だろ?……。
空になってる───
信じられない失態。
体積を増した影の圧力に、アクリルケースの強度が追い付かなかったのだ。
足元に有る空っぽのケースは、角の継ぎ目がことごとく裂けている。
その瞬間。脳天から脊髄にかけて冷たいものが流れ込む感じがした。
───犬笛をっ!───
必死で胸をまさぐったが、ブレイブ号の形見はフウカが持っている。
予備の犬笛はポケットの中だ!
「うぉぉぉおおっ!」
腕を動かそうとしたが、震えと共に身体中が突っ張って、既に肘の関節を伸ばすことすら出来なくなっている。