新パラレルワールド参加作品=The shadows=天才浅海ユウと凡才月星大豆の奇跡的コラボ[企画]
シンとの通信を終えた俺は、重い足取りで瓦礫の上を歩いた。
任務への疑念。フウカのこと。そしてシンのこれから……。
俺を取り巻く様々なことが心にのし掛かって、それらが自然、踏み出す足を重くさせている。
目印にした5メートル程の針葉樹。
その下に置いたアクリルケースは黒く染まり、囮にした犬の首輪が中で蠢いている。
「たった今の事だったんだな……」
やがてその首輪も影に飲み込まれ、透明だったケースは只の黒い箱になっていた。
思惑通り、犬を取り込んだ影はトラップから出られなくなり、狭い箱の中に隙間なく充満している。
「研究のためだ。許してくれよな」
俺は哀れな迷い犬のために手を合わせた。
───研究のため……。
一体、なんのための研究だというんだ───
最早疑念は憤りとなり、なんの罪も無い命を奪ってしまった自分に、ほとほと嫌気が差してくる。
───駄目だ。考えるな。
並行世界での迷いは命取りになる───
俺は頭を軽く振って、ミカン箱程のケースを肩から下げた。
───とにかく、これを持ち帰りさえすれば、任務は完遂される。
しかし、その後は───
恐らく、影の研究の行き着くところは、驚異的な殺傷力を誇る、これまで類を見なかった兵器の完成。
コントロール出来ない状態のまま放たれた、たった1体の影が、ひとつの国だけではなく、全世界を破滅に追いやった。
もしそれを制御することが可能になれば、核よりも遥かにクリーンで、且つ強力・確実な、未曾有の大量殺戮兵器になる。
俺はこの死神の大鎌を自分の世界へ持ち帰ろうとしているのだ。