新パラレルワールド参加作品=The shadows=天才浅海ユウと凡才月星大豆の奇跡的コラボ[企画]
返事もしない俺にざわつき始めた会場。純一郎はすぐに俺の変調に気付いて耳打ちしてきた。
「どうした、リュウ」
俺も純一郎に耳打ちして返す。
「お、おれに物理学を志すきっかけを与えてくれた博士が、会場に居るんだ」
「え? 『天才原口龍太郎の実験エトセトラ』の、あの原口教授か?」
「う、うん。左後ろの方」
逸速(イチハヤ)くその姿を確認して、純一郎は客席に笑顔を向けた。
「みなさん、ごめんね。実はリュウのヒーローがこの会場に来てるんです」
「お、おい。純一郎!」
俺の制止も聞かず彼は続けた。
「みなさんも聞いてて解った通り、リュウは歌が上手い」
会場がまた純一郎に支配された。拍手と声援が俺たちに送られる。
「でも正式メンバーにはなってくれなかった。何故なら彼には夢が有るから」
会場のみんなも、純一郎の次の言葉を待っている。
「それは物理学者になることなんです。そう、彼のような!」
純一郎が手をかざすと、ライトが客席全体を明るく照らした。