新パラレルワールド参加作品=The shadows=天才浅海ユウと凡才月星大豆の奇跡的コラボ[企画]
シンの意味ありげな追伸に首を捻った時、俺は全く別の用事を思い出した。
───ん? ああっ!
大切な事をシンに伝えるのを忘れてた───
彼は明日。研究所一番の美人、小椋みうと結婚する。
さっきは議論になることを避けて電話を切ってしまったが、月齢との関係で今度彼と通信が出来るのは4日後になってしまう。
「やっぱ今言わなきゃ」
俺は思い直して電源を再び入れ、研究所のシンに次元間電話を掛けた。
「シン。結婚、おめでとう」
『は?』
「結婚式、明日だったろ?」
短い沈黙の後、シンは『結婚は延期した』と、抑揚のない声で言った。
「へ?」
『用件はそれだけか? なら切るぞ』
「あ。待てよ! もうひとつ、変わったことって何だ? アナザー・ワールド・トラベラーの調子でも悪くなったのか?」
『あ? ああ……。いや……。別に何も無いならいいんだ。じゃあ4日後に』
素っ気なく、今度はシンの方から通信を切られてしまった。
───なんだ? あの態度。
結婚延期って、どうしてだ。
って……それより、通信は4日後のいつなんだよ、掛けてくる時間はさ!───