新パラレルワールド参加作品=The shadows=天才浅海ユウと凡才月星大豆の奇跡的コラボ[企画]
俺はしばらく次元間電話の前に立ち尽くしていた。
そしてレシーバーを放り出してヤケ気味に椅子へ腰掛ける。
───何だろう。どうも釈然としない。
あの奥歯に物の挟まったような物言いは何だ?
逃げるようにして通信も切られたし。
シンはクールな男だが、俺に隠し事をするような友達甲斐の無い人物ではない。
小椋みうに振られたか?
いや、どちらかと言えば、彼女の方がシンにゾッコンだった筈だ。
一体、何が原因で延期になった?───
俺は目を瞑って、ここ最近に彼が発した言葉を反芻した。
しかしこれといって思い当たる節はない。
今までで一番危険な仕事だというのに、どこか任務に集中出来ないでいる。
俺ばかりか、シンまでもがいつもの冷静さを失っている気がした。
───今日は妙に冷えるな───
季節外れの冷たい風が地下モールに吹き込み、テントを揺らした。
そのゾクリとする感じは嫌な予感を彷彿とさせる。俺は、次々襲ってくる胸騒ぎを抑えられずにいた。