新パラレルワールド参加作品=The shadows=天才浅海ユウと凡才月星大豆の奇跡的コラボ[企画]
これ迄の調査から『影』は、微粒子が集まったガスのような物である事が判明している。
大きさは人間程で、そのガス体は強い表面張力のような物で支配されているらしい。
生きた動物を求めて徘徊し、ある程度生命エネルギーを吸収すると2つに分裂し、増殖する。
『こちらの世界の原口龍太郎博士』に依って戦争末期に作られた、恐るべき大量殺人兵器。
中学の頃から天才原口博士に憧れ、物理学を志した俺は、その事実に愕然とした。
同じ人間でも住む世界や暮らす環境に依っては、才能を恐ろしいことに使ってしまうのだということに。
ここにこそ、シンと何度も議論になった『快諾出来兼ねる理由』がある。
影を作ったこちらの世界のマッドサイエンティスト原口と、同じ能力のクォリティを持つ我が原口龍太郎研究所。
それはサンプルとして持ち帰った影を、操作可能で、使用者側には安全な兵器として完成させてしまう可能性があるのだ。
今回の研究成果を買いたがっている企業や研究機関の殆どは、軍事関連の特許を多く保有する、所謂『死の商人』達だ。
ひょっとしたら、死神の片棒を担ぐことにもなり兼ねない任務に、俺は疑念をいだいている。
しかし研究費用として半ば無尽蔵な資金提供が得られるのも、今一番注目されている並行世界研究の、しかも最先端であるこの原口龍太郎研究所に居てこそだ。
───うだつのあがらない貧乏研究所に居たのでは、やりたいことも出来はしない……ああ───
哲学者に任せると結論を出したのに、また延々と思いを巡らせているのに気付いた。
───ここまで来たんだ、
やっぱりやるしかない───