新パラレルワールド参加作品=The shadows=天才浅海ユウと凡才月星大豆の奇跡的コラボ[企画]
迷彩色のカーゴパンツは大きく切り裂かれ、血に濡れた所はどす黒くその色を変えている。
「あれは影。この世界を廃墟に変えた元凶だ。あんたも気を付けるんだな。特に夜はロッカーとかの箱の中で寝ろ」
「あ、あ……あの……」
口ごもりながらも漸く俺を見た彼女と、目が合ってしまった。
───綺麗だ───
その美しい、名画のような顔立ちに、俺は暫く言葉を失った。
「あの。もう大丈夫ですから……」
気付くと俺は、彼女にのし掛かったままだった。眉間に皺を寄せた彼女がもぞもぞと身を捩っている。
「ごめん、つい……」
俺が飛び退くと同時に彼女も立ち上がり、服の埃を払っている。
まるで俺と触れていた場所を、払い清めでもするかのように。
「ごめん、汚してしまったね」
「いえ、もう平気です。ホントに大丈夫ですから」
思えばかなりの時間、俺は彼女に覆い被さっていた。それを不快に思ったに違いない。
「あ、……影を消すならこれを使え。5分したら復活してしまうけど、その内に隠れる場所を探してやり過ごせばいいから」
俺は彼女を煩わせたその気恥ずかしさで、大切なブレイブ号の形見を白い手に押し付けてしまった。