新パラレルワールド参加作品=The shadows=天才浅海ユウと凡才月星大豆の奇跡的コラボ[企画]

 無言で見詰める俺に、彼女もただ黙って視線を合わせてくる。


 発信器のことは俄には信じ難いが、その真っ直ぐな瞳に嘘はないと思わずにはおれなかった。


「お願いが有るんです」


 その真剣な表情に気圧された。


「リュウさんが手際良く傷の治療をなさってるの見て、ひょっとしたら私の発信器も取って貰えるかも知れないと思って」


 長いまつ毛を上げた彼女が縋るように俺を見るその顔色は、紙のように蒼白だった。


「これがある限り、私の悪夢は終わらないんです」


───悪夢……か───


「あなたとご主人の間に一体、何があったんですか?」


 尋ねると彼女は、ますます顔色を無くしながらポツリポツリと話し始めた。



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