新パラレルワールド参加作品=The shadows=天才浅海ユウと凡才月星大豆の奇跡的コラボ[企画]

 そうして。


「最初に言っとくけど、俺は医者じゃないから。浅い所の物しかとりだせないよ?」


 トランクに入れてあった救急キットを取り出しながら、彼女に確認する。


「はい。ダメだったら、諦めます」


 器具は湯沸かしポットで何回も煮沸消毒を行った。


 綺麗な流水は無いが、手はハンドソープと塩化ベンザルコニウムを希釈した液で洗浄したから大丈夫だろう。


そして充分に背中をイソジンで消毒。滅菌ガーゼを手術部位だけが出るようにくり抜いた物を乗せ、歯科医院からくすねてきた注射器でリドカインを打ち込んだ。


「どう? これは痛い?」


「まだ……ちょっとチクッとします」


 追加で針を刺し、患部を充分に麻痺させた後、メスを入れた。


エピネフリン(血管収縮作用有り)添加のリドカインを使っているので出血も少ない。


しかし。


「ない……」


 パックリと口を開けた皮膚層の下には、何も埋め込まれてなどいなかった。


───これ以上切ったら神経を痛めてしまう恐れが有る───



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