新パラレルワールド参加作品=The shadows=天才浅海ユウと凡才月星大豆の奇跡的コラボ[企画]
「な、何が可笑しいんですか」
彼女は頬を赤くして怒っている。ブレイブ号も拗ねると、部屋の隅から動かなかったっけ。
テントの隅で膝を抱えている彼女が、ますます犬に見えてきた。
「ほら、出ておいで。ご飯だよ」
俺はバケットに切れ目を入れ、ハムとチーズを挟み込んで彼女の方に差し出した。
「犬みたいに扱わないで下さい」
雑誌か何かのモデルのような美人が、子供みたいに拗ねたり怒ったりするさまは、可愛いらしくも魅力的だった。
「ごめん、ごめん。君があんまり……」
可愛いから、と言う言葉をかろうじて飲み込んだ。
「このチーズは絶品だよ? これでレタスとトマトが有れば、言うことないんだけどね。フウカさん、紅茶はミルク? レモン?」
彼女はようやくテントの隅を離れ、こちらへ来てパンを受け取った。
「ありがとう」
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そうして食事を終え、腹が満たされると強烈な眠気に襲われた。