新パラレルワールド参加作品=The shadows=天才浅海ユウと凡才月星大豆の奇跡的コラボ[企画]
───これでやっと交信が出来る───
適当な場所を見つけ、その地面にテントを投げた。
シュウシュウと音を立てながら、内臓されたボンベに依ってテントが勝手に膨らみ始めた。
その僅か数十秒が待ち切れず、まだヨレヨレのテントに潜り込んでPCを立ち上げ、次元間電話を繋いだ。
『リュウ、どうした。やけに早いじゃないか。珍しくカメラも繋いだりして』
落ち着いたシンの顔と声。その姿の後ろには、重厚な造りのキャビネットがある。
「ああ、なんだか人恋しくてな」
『ホームシックか? リュウらしくもない』
他愛のない会話をしながら画面を見ると、キャビネットにはシンの婚約者が微笑む写真が立てられていた。
俺の目は写真に釘付けになる。そこに写った知的な女性が抱いている、その白いチワワに。
───そうだ、そうだった───
あの話は、研究所でアシスタントをしていたシンのフィアンセ、ミュウこと小椋みうから聞いたのだ。
『犬を貰いに行ったら玄関も開けてもらえなくて。窓に填ってる格子の隙間から無言で渡されたのよ? 普通じゃ考えられないわよね!』
───まさか、これも偶然だと言うのか?
……あり得ない───