新パラレルワールド参加作品=The shadows=天才浅海ユウと凡才月星大豆の奇跡的コラボ[企画]

「シン。行動成果報告の前に、どうしても聞きたいことがある」


 俺は腹を決めてシンに質問した。


「お前、一体どういうつもりでフウカさんをここに送り込んだんだ?」


 おのずと問い詰めるような口調になったが、シンは途端に安堵したような表情で答えた。


『良かった。やっぱり彼女を拾ってくれてたんだな?』


───やはりシンだったか───


「だから、なんで彼女をこんな危険な所に……」


『こっちに居たら、いずれ彼女がダンナに殺されるか、彼女が彼を殺してしまうかのどちらかだ』


 シンは淡々と答えた。


「お前……」


 絶句してしまった俺に向かい、モニターの中のシンは静かに続けた。


『俺の結婚が決まった時、わけもなくフウカのことが気になった。でも彼女が結婚したって話は風の噂に聞いてたし、今さら未練がましく連絡を取るなんて出来なかった』


 だからシンは、彼女が高校時代に使っていたフリーメールのアドレスをネット検索してみたのだという。


そこで犬の飼い主を探している彼女を見つけた。


『これから結婚する俺が、人妻の彼女に会いに行くのは抵抗があった。だから、丁度犬を欲しがっていたみうに行ってもらったんだ』


───婚約者を元カノの所にやるのもどうかと思うけどな───


『だが、犬を受けとった時の異常な状況を聞いて、じっとしていられなくなった』


 彼女が興味を持ちそうなサイトを複数作り、フィッシングメールを装って彼女のフリーメールアドレスに送り付け、そこへ誘導したのだという。


───その一つが『よろず承り処』というわけか……───


「シン。お前まさか、まだ彼女のことが……」


 質問には答えずに、黙って目を伏せている。


───勘弁してくれよ───



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