新パラレルワールド参加作品=The shadows=天才浅海ユウと凡才月星大豆の奇跡的コラボ[企画]

 私は泣きそうになりながら、リュウの手を握った。


───私をひとりにしないで。


守って欲しいからとかじゃなく、リュウさんが好きだから───


 昼間投げ掛けられた質問の答えを心が叫ぶ。


その時、ようやく夫の呪縛が解けたような気がした。


自由に他の誰かを好きになれる喜びを噛み締めていた。


「これぐらい、平気だから」


 リュウは私の顔をじっと見つめたあと、苦しそうに目を伏せる。


そして、私の手を振りほどくようにして起き上がり、黙って傷の手当を始めた。


───リュウさん?───


 そのいつもと違う冷たい素振りに、声が出なかった。


 傷の消毒が終わると、


「昼の食事の残り、温めてぜんぶ食べていいよ。俺は今、食欲ないから」


 と、私の顔を見ることもせずに言った。



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