新パラレルワールド参加作品=The shadows=天才浅海ユウと凡才月星大豆の奇跡的コラボ[企画]
先輩が私に向けていた視線をわずかに持ち上げた。
「リュウ、フウカを頼む。明日。お前とフウカがそちらを出発したのを確認してから、こちらも移動する」
その言葉を聞いて、私はハッと振り返った。
後ろにリュウが立っている。
ずっと聞いていたのだろうか。
恐ろしく真剣な顔。
「シン。お前、本気で言ってるのか? 規定を破って並行世界へ出た研究員は、二度とそっちへ戻れない。知ってるだろ?」
先輩を問い詰めるリュウの顔は今までになく厳しい。
「承知の上だ」
先輩は毅然と言った。
「シン……。責任をとるためなのか……」
リュウの呟きによって、先輩の悲壮な決意を知った。
彼のやろうとしていることは多分、違法行為なのだろう。
「先輩……やめて……。お願い……」
嗚咽で声が詰まった。