新パラレルワールド参加作品=The shadows=天才浅海ユウと凡才月星大豆の奇跡的コラボ[企画]
動揺する私から目を離すことなく、先輩は静かに続けた。
「もちろん、接触してくることは想定してた。あの男に、明日君と会わせてやる約束をした」
「えっ?」
一瞬、先輩の言葉の真意を見失いそうになった。
「航行装置をセッティングした場所に連れ込むために、嘘をついたんだ。
君とリュウをこちらに戻すのと同時に、あの男と俺がそちらへ行く」
「どうして? どうして先輩も?」
彼はその質問に答えなかった。
夫をこちらの世界へ確実に送り出すためには、先輩が同行する必要があるのだろうか。
「先輩、やめて! あの人、狂ってるの。何をするかわからない。先輩を危ない目に遭わせるくらいなら、私があの男の所に戻るから!」
必死で訴える私を見て、先輩は微かな笑みを浮かべた。
「フウカは大人になっても変わらないな。我慢強くて思いやりのある、あの頃のフウカのままだ」
「深先輩……」
───先輩だって変わってないよ───
それは涙で言葉にならなかった。