ストロベリー革命
「天花ちょっと黙ってろ!」

 表情をピクリとも崩さずに、天花の耳元で怒鳴る。

「藤堂さんは好きでもない人と結婚なんてしたくないと言ってたわ。それでも自分の気持ちを犠牲にして結婚するそうよ。あなたはどうするつもり?」

 アホな天花に今はこれ以上かまっていられない。

 せっかく授業をサボってまで来たんだから最後まで話したいのだ。

「あいつがそう言ったなら俺は何も言わない。怜華の好きなようにすればいいよ」

(な、何言ってんだこいつ……!? さっきは“好き”って言ってたのに)

 さっきは男として尊敬したのに、今では信じられない。

 あの“好き”という言葉が嘘のように思えてきた。

「どうして?」

「男が口出す事じゃないから」

「でも自分の気持ちを犠牲にしているのよ」

「怜華が選んだ答えなら俺はそれでいい」

 わかるような、わからないような複雑な心境だった。

 せっかく互いに同じ気持ちなのに、それを叶えようとしない二人。

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