ストロベリー革命
 天花がどんなに変な顔をしても、直には全て可愛く見えた。

 女子校なので女の子は他にもたくさんいるけど、天花しか目に入ってこない。

 一緒の部屋で一番近い存在だからかもしれないが、直は天花を目で追うたびにドキドキしていた。



 放課後、天花は園芸部用の畑と中庭の花壇を行ったり来たりして、水をやっている。

 三年生は部活を引退し、部員は正式に天花と直の二人となった。

 しかしその部員の直はまだ来ていない。

「直ったら遅いなー。何やってんだろー」

 水やりを終えた天花は、畑でさつまいもを掘っていた。

 天花が編入して来る前に植えられていた種は、見事に育ち、大きなさつまいもを身につけている。

 さつまいもを傷付けないように、優しくスコップで掘っていく。

「このさつまいも家に送ってあげよー。ばあちゃん喜んでくれるかなぁー」

 今日は収穫物が大量にあり、大喜びの天花であった。

 同時に、都会でもちゃんと野菜が育つ事を知った。

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