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「……さむい」
もぞっと。
突然身じろいだ背中と同時に、たった今目覚めたと言いたげな調子の声が聞こえてきた。
次いでヤツは丸くなり、ずりずりとずり下がったかと思えば、布団をこめかみ辺りまで引っ張り上げる。
その間、一度も振り向きはしなかった。
知ってる。
お前はそういうヤツだって。
「……寒いなら、ちゃんと布団入れよ」
「……入ってたよ」
くぐもった声。
「じゃ、なんで朝になるとそんな背中出てんの」
「……お前のせい」
「なに、俺のせいって」
「お前がね、夜の間に全部持ってっちゃうんだよ」
まさか。
「そんな寝相悪くないだろ」
「知ってる。悪くない。でも冬はサイアク」
「冬限定なの」
「うん」
“だってお前、寒がりじゃん”
そう付け加えた布団の丸みは、またもぞもぞとうごめいた。