AM 0:00




初耳だった。
そして気づかなかった。

今度から掛布団だけ別にしてやろうか。
ベッドはひとつしかないからさ。



あれ、でも冬用の掛布団、もう一枚あったっけ。

収納場所を思い返しながら、ベッドサイドに置いてあるチェストの上へと手を伸ばす。

必然的に俺が布団を引っ張る結果となり、隣から「引っ張るな」という文句が飛んできた。
「はいはい」とだけ返しておく。

チェストの上に置いてあった携帯を手に取り、時間を確認する。


午前10時、ちょっと前。
案外早起きだ。これでもね。



「……メグル」


隣で布団を引っ張り返している輩の名前を呼ぶ。



「……なに」
「10時前なんだけど、どうする」
「……じゅうじまえー」
「うん。俺起きるけど」
「……えー」
「えー、じゃなくて」
「んー」
「んー、でもねーよ」
「……ユヅルー」
「なに」
「コーヒー」


言うと思った。




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