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「いいよ、別に。今日シャワーだけで」
「風邪引くなよね」
「引かないって」
「だってお前、寒がりじゃん」
「心配ですか」
「看病がね、めんどくさい」
「はいはい」


小さく笑って、コーヒーを飲み干す。


言っとくけどね、メグルさん。

お前が風邪引いた時の方が、看病、ものすごいめんどうだと思うよ。

いつもよりわがままになるし、いつもより動きたがらないし。

そのくせ、コーヒーは飲みたがるし、絵は描きたがるし。

本当、困ったヤツだよ。お前ってさ。



「……んじゃ、俺先入る」
「んー」


空になったカップを持ったまま、気のない返事を聞き流しつつ立ち上がる。

カップをキッチンに置いて、暖房の効いたリビングを出た。


風呂から上がったら、創作タイムかな。

たぶん、アイツのことだから、ケーキとコーヒーを飲みながら、絵の具のたっぷりついた筆を振り回すはずだ。

で、描いてる内に、絵に夢中になりすぎて、コーヒーをこぼす。

そろそろ学習したらどうなの。


まあ、そんな学習嫌いなお前が描いた絵、俺は嫌いじゃないけどね。




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