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「……んー?」
「コーヒーさ」
「うんー」
「薄いのと濃いの、どっち」
「濃いの」
だよね。
「豆は」
「ブラジル」
即答。
「んじゃ、浅煎り、深煎り」
「深煎り」
「りょーかい」
濃くて深煎り、豆はブラジル。
濃いのが好きなくせに、豆は案外飲みやすいものを選ぶヤツ。
メグルは酸味が苦手なのだ。昔から。
脳内で注文の多いモーニングコーヒーのリストを作りつつ、ベッドから立ち上がる。
振り返り、セミダブルの端に寄っている、布団の丸みを見下ろす。
メグルが転がり込んできたせいで、わざわざ買い替えてうちにやってきたこのベッド。
俺が寝てない右半分は少し寂しい。
コイツはバルコニーのある左側がお気に入りだ。
ヤツ曰く、“ベッドに寝たまま日向ぼっこができるから”らしい。
お前らしいといえば、お前らしいよ。すごく。