AM 0:00

AM 10:24 面倒くさがりとトナカイのケーキ





カーテンの向こうには、灰色の世界が広がっていた。


どんよりと重たい雲が、今にも高層ビルを飲み込んでしまいそうに思う。
ありえないけど。


26型のテレビから、午後の天気予報が流れてくる。

午後はどんより曇り空。
夜になるにつれて気温が下がり、運が良ければホワイトクリスマスになるでしょう。


そっか、今日クリスマスか。

バルコニーに繋がる窓に向かって、ため息とも深呼吸ともとれない息を吐く。

さきほどよりもだいぶ温まってきた、1LDKのLDK。
それとバルコニーを隔てる透明のガラスはとても冷たく、吐息が曇って風景を濁らせた。



ピー、ピーと。

コーヒーメイカーが、カウンターの上から買い主を呼ぶ。
注文の多いモーニングコーヒーが完成したようだ。


悪いね、メイカー。まだまだお前の出番じゃないよ。

俺はポケットに手を入れて、寒いであろう寝室へと足を向ける。
行きたくないけどね。


面倒だなと、重たい右手を持ち上げて、寝室のドアを開ける。

開けた先から、冷気がこちらへ流れ込んできた。ついでに絵の具の匂いも。




< 7 / 45 >

この作品をシェア

pagetop