翼を失くした天使の羽音
「ダメだよ……待って!!」


再び目の前に現れた女のコ。



「はい……あげる」


満面の笑顔で、俺にもう1度、ピアスを差し出した。



「えっ?」


俺は戸惑った――けど。




「このピアスをどうするか……拾ったわたしの自由なら、あなたにあげる」



その笑顔がまぶしくて、素直に右手を差し出していた。




「……ありがとう」


小さくつぶやくと。




「このピアス、あそこのクリスマスツリーのお星様みたいに綺麗だから、2度と捨てようなんて思ったらダメだよ」



女のコは優しい声で、言ったんだ。




「……うん」



返事をしながら、クリスマスツリーを見上げた。




さっきまで灰色だった輝きが、一瞬でまぶしい光に変わっていた。




< 189 / 190 >

この作品をシェア

pagetop