ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~

……確かに、酷い。

普段の私だったら、きっと耐えられないと思ってしまう程酷い音だった。


それでも。

弾けることが嬉しくて、まずは指ならしのスケールから。

手荒れしているせいもあって、思うように弾けなかったけれど。


指先がカサカサで、滑ってしまう。

関節を曲げると痛いので、無意識に庇ってしまうせいか、音が飛ぶ。

でも今は、弾けることが楽しくてしょうがない。


スケールを終えた後。

大好きな『愛の挨拶』を弾いた。


クレッシェンド、デクレッシェンド、そしてまたクレッシェンド……。

この旋律と、自分の心の波長がぴったり合っているような気がして、夢中になっていた。

酷い音だと思っていたけれど、今はただ、この旋律を楽しみたい。


やっぱりピアノは、私の生活になくてはならない。

聴くのももちろん好きだけれど、私は演奏する方が好き。

そして、誰かに聴いてもらえたら、もっと嬉しい。

< 139 / 332 >

この作品をシェア

pagetop