ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~
……確かに、酷い。
普段の私だったら、きっと耐えられないと思ってしまう程酷い音だった。
それでも。
弾けることが嬉しくて、まずは指ならしのスケールから。
手荒れしているせいもあって、思うように弾けなかったけれど。
指先がカサカサで、滑ってしまう。
関節を曲げると痛いので、無意識に庇ってしまうせいか、音が飛ぶ。
でも今は、弾けることが楽しくてしょうがない。
スケールを終えた後。
大好きな『愛の挨拶』を弾いた。
クレッシェンド、デクレッシェンド、そしてまたクレッシェンド……。
この旋律と、自分の心の波長がぴったり合っているような気がして、夢中になっていた。
酷い音だと思っていたけれど、今はただ、この旋律を楽しみたい。
やっぱりピアノは、私の生活になくてはならない。
聴くのももちろん好きだけれど、私は演奏する方が好き。
そして、誰かに聴いてもらえたら、もっと嬉しい。