ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~

その時。

視界の隅に、パーサーが見えた。


……そうだった、まだ、ここにはパーサーがいたんだっけ。

それなら、パーサーをお客様だと思って弾こう。


私の指先を見ているであろうパーサーに、視線を一度向けてみた。

すると。

私とバッチリ目が合ってしまった。


今、気づいた。

これって、夢で見たのと同じ光景、かも。

夢の中では、グランドピアノだったけれど。


後半は演奏に集中できないことを考えてしまったけれど。

『愛の挨拶』を弾き終えた。


そっと、鍵盤から手を離すと。


パーサーからの拍手を頂いた。


「さすがだな」


「ありがとうございます」


「でも、これで理解できると思う。

船上のピアニストに求められる技能で、岩谷に欠けている点がひとつある、と」


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