ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~
そっか……。
調律は、さすがに自分ではできない。
だけど洋上では当然、陸から調律師を呼ぶことなんて不可能……。
ピアノの調律師になるには、普通、専門学校で2年間程勉強して、さらに経験を積むことが必要。
きっと、最初から無理だったんだ。
就職した今から、専門学校へ入学し直せない。
だって、陸にいられないのにどうやって通えばいいの?
やっぱり私は、好きな事を仕事にすることができないのかな。
このまま、船の上にいる間、ピアノに触れない生活が続くんだろうか。
私が選んだ進路は、間違っていたんだろうか。
ピアノを弾く仕事に就きたくて、わずかでも可能性があるのならと、この会社を選んだ。
でも、全く仕事に生かせないのであれば。
もしかしたら、普通のOLとして働いて、自宅に帰ったら好きなだけピアノを演奏する生活の方が良かったんじゃないかな……。
何のために、ここで辛い想いをしているのか、わからなくなってきちゃったよ。
最初からそれが解っていたなら、どうして『コウさん』はあの夜、教えてくれなかったの?