ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~

パーサーの言葉に、希望を見出そうとした。

今まで褒めてもらったのは、ピアノの腕だけ、かも知れない。

あとは叱られてばかり。


でも、船酔いからスタートした私が、やっと今、まともに船で生活できるようになった。

マイナスから、ようやくゼロに到達できたところだもの。

今辞めてしまったら、私は自分に失望してしまう。

きっと、自信なんて全くなくなる。

何をしてもダメなままの私でいるのは嫌だった。


パーサーにも失望されたくない。

私をこっそり励ましてくれる、優しい人、なんだよね?

厳しいのは、上司だから当たり前。

研修中だって、お客様の前では社員であることに変わりないのだから。


「弾かないのか?」


色々考えていた私を、現実に戻す落ち着いた声。


「もう少し、聴きたかった」

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