ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~

「ありがとうございます」


その言葉を頂けただけで、どれだけ私が嬉しいかわかりますか?

と、心の中で付け加える。


「指、そんなに痛いのか?」


「手荒れのせいじゃありませんよ。

弾かせて頂いたこと、感謝しています。

でも、他にしなくちゃならないことがあるような気がして」


「たとえば?」


「上手にお皿を持つ練習、点検手順の復習、十勝と神戸のフェリーターミナルからの交通機関の確認……」


「それだけ解ってたら、上出来だ。

……失恋どころじゃないだろ?」


最後の言葉にはっとした。

それは、パーサーから発せられたというより『コウさん』からの言葉だと感じたから。


確かに、先生の事を思い出しても、もう、あの時のような痛みはなかった。

先生に恋して、ほぼ同時に無理だと知ってからもうすぐ1年。

先生と菫の結婚式に出席して、現実を突きつけられてから4か月。

……コウさんと出会ってから4か月、だった。

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