ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~

それから。


コウさんといろんな話をした。

話題が豊富で、幅広い知識を持った人だと感心した。

話を私に合わせてくれようとして、クラシックについても色々おしゃべりしたけれど、かなり詳しい。

すごいな、やっぱり社会人ってこうじゃなきゃダメなのかも。

あと3か月で私もこういう大人に囲まれて仕事をするのか……。

夢見た将来とは違うけれど、頑張ろうっていう気持ちになれた。

さっきまで泣いていたのに、今はこうして笑って話せる。

あのままひとりでロビーにいたら、今頃まだ泣いていたかも知れない。

先生のお友達だもの、いい人に決まってるよね?



先生……。菫……。


大好きな親友のブーケが、私の心には重たかった。

華やかなクリスマスツリーとは裏腹に、どす黒い自分の感情をどうにかしたくて。

自分に嫌気がさして、まるで自傷行為のように何度も自分を罵った。


そこへ偶然現れて、声をかけてくれた人……。

コウさんの言葉がそっと心の傷口を押さえてくれた気がする。

まだ痛いし、血は完全に止まっていないけれど。



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