ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~

『話を合わせろ』


『私の……大切な人』


『彼女はそんな安い女じゃない』


『これから、じっくり知ることになります』


『答えは、陸に上がってから、な』


何をどう、じっくり知ることになるのか。

本当のパーサーの考えは、全くわからないまま。

陸に上がってから……オフの日に誘ってくれたのは、コウさん。

大学生の私に、効果絶大のおまじないだと言ってキスしたのも、コウさん。


……でも、さっき助けてくれたのは、パーサーとして、だったような?

どこまでが『パーサーとしての演技』で、どこからが『コウさん』なのか。

もう、訳がわからなくなってきた。


確かに、慣れない仕事と厳しい上司、時々出てきては私を翻弄するコウさんのせいで、失恋どころではない。


クリスマスの夜に言われた

『失恋なんて、忘れさせてあげようか』という言葉も思い出す。


コウさん。

今の状態をあの時既に予見していたっていう事、なんですか?


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