ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~

驚いて声も出ない私に、耳元でささやく、深みのある声。


「上を見てごらん。

さすが一流ホテルのツリーだ。

ヤドリギもちゃんと飾られているのは、きっとこのジンクスを信じている人のためだね」


上の枝には、確かに鳥の巣のような緑の葉の塊がついていた。

これが、ヤドリギ?

で、それが一体何で今のキスにつながるの!?


「あ、あの、今のは……?」


「ヤドリギの下で出会ったら、たとえ敵同士であっても、キスをして争いをやめなければならない。

キスをしたら幸せが来るそうだ。

日本にはあまりなじみがない風習だけど、海外ではよく聞くよ」


「だからって、いきなりそれは……」


「女の子に拒否権はないんだ。

そういう風習、だからね。

ブーケをもらって、ヤドリギの下でキスをした。

来年一年間は、きっといい年になるよ!

……俺が保証する。頑張れ、裕香ちゃん」


私に何も言わせないように、タクシー乗り場へ引っ張って行かれた。

タクシーに乗せられて、あっさりと手を振って別れた。


私、もしかして、ファーストキスを、どこの誰とも判らない人としちゃったの!?

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