ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~
華やかな雰囲気の中でも、コウさんは『パーサー』だった。
私のためにここへ連れてきてくれたっていうのは、さっきの話で理解できた。
でもここは、結婚を考える二人のための場所。
『仕事のため、部下のため』に来るべきところではないよね?
結婚を夢見るカップルの中で、私達はとても場違いだった。
「……帰りたいです」
「もう!? これから、ちょっとドライブしてディナー……」
「帰りたい……」
さっきからずっと握られていた手を、今度は私が引っ張った。
「裕香ちゃん?」
帰りの車の中。
「うちの会社、ホテルも経営してるの知ってるよな?
今そっちが赤字で、何とか採算が取れるようにリニューアルする予定なんだ。
うまくいけば、裕香ちゃんの希望が叶う部署へ行けると思う。
君と俺にとって、悪い話ではないんだ」
「私とコウさんって、何ですか?
それもはっきりしないまま、あの場所にいるのはとっても……」
みじめでした、と言いかけてやめた。
これ以上、みじめな気分になりたくなかった。