ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~

「今度の新入社員、パーサー部門にはこの子達が来ますよって人事から履歴書と船員手帳を回されたんだ。

で、履歴書を見たら、タケルの学校の卒業生で、花嫁と同期だった。

他の新人とは毛色の違う経歴だったし、少し気になってた。

……この子、やっていけるんだろうかって、ね」


「それで、結婚式の日に声を掛けてくれたんですね」


「そういうこと。

結婚式のピアノを聴いて、きっとまっすぐで真面目な子なんだろうと思ったよ。

式が終わって、様子を見ていたら陰でこっそり泣いててさ、ほっとけなかった」


あの日、既にコウさんは私の事を知っていて、話を聞き出すために自分の経歴は隠していたんだって初めて知った。


「こんな純粋で可愛い子が陰でこっそり泣いているなんて、タケルは知らないだろ?

最初は保護者の気分でいたんだけど、話してみたらいい子だし、うちの人事も見る目あるよな、なんて思った。

そのまま別れるのも勿体ないし、俺自身のジンクスも兼ねてちょっとだけ印象付けておこう、なんてね」

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