ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~
「みんな、いろんな事情でここへ来る。
俺なんてまだ、親の顔を知ってるだけ幸せだって言われた。
生まれてすぐ親に捨てられて、乳児院から児童養護施設へ移された子どももいた。
親からひどい虐待を受けて、学校からの通報でやっと救い出された子どもも多い。
軽い障害を持つ子が、親から育児放棄されて餓死寸前でここへ来たこともあった。
子どもながらに許せないって思ったから、みんなそいつの面倒を一生懸命みたんだ。
子どもは、親のおもちゃじゃない。
アクセサリーでもない。
俺達や施設の先生は、どんなに頑張っても『家族』にはなれない。
『家族ごっこ』で喜ぶそいつを見ていたら、たまらない気持ちになったよ。
この世に、こんな不幸があるとは知らなかった。
親の愛情を知っている俺は、まだまだ幸せだったんだ……」
私の背中を撫でてくれていた手が、一瞬止まった。
そして。
「その親に向かって、俺は最期に何を言ってしまったんだろう。
今更謝ることもできない、取り返しのつかないことをしたって後悔してさ。
ひどい息子だよな?」
私の様子を伺う眼が、とても痛々しく思えた。