ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~
限界、だった。
下まぶたとまつ毛に支えられていた涙が、重力に逆らえずに落ちてきた。
一度溢れた雫はそのままどんどん頬へ流れてくる。
嬉しい日なのに。
初対面の男の人の前なのに。
泣きたくないのに……。
結婚式用の小さなバッグに入れていたハンカチを取り出して、そっとぬぐう。
泣き止もうと必死だった。
こんな自分が嫌で仕方がない。
せめて、ひとりになりたかった。
目の前の男性が気の毒だった。
これじゃあ、コウさんが私を泣かせてるみたいじゃない。
きっと、今頃後悔してるよね?
私になんて声を掛けなきゃよかったって。
自分だけじゃなく、コウさんまで巻き込んで嫌な気持ちにさせてしまった。
この場から、消えてなくなりたいよ……。
「失恋なんて、きれいさっぱり忘れさせてあげようか?」
さっきまでの軽いノリと全く違う、しっかりとした口調に驚いて顔を上げると。
「君次第、だけど」