ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~

私の頭の中にいるんだから、私のいう事を聞いて!


「パーサー、私、ピアノが弾きたいんです!」


今まで、こんなに長く生のピアノに触れない生活を送ったことはなかった。

練習しないと、勘を取り戻すためにものすごく苦労する。

このままでは、どんどん弾けなくなってしまう。

いつになったら、弾けるの?


「岩谷はまず、船酔いを克服することから、だな」


「もう大丈夫ですから!」


「じゃあ、一人前に仕事ができるようになってからだ」


「そ、それはこれから頑張ります!」


「一人前になるまでに、何年かかるか知ってるか?」


厳しい顔をしながら、パーサーはピアノの蓋を閉めた。


「一人前になるより先に、このままじゃ弾けなくなってしまいます!」


「なら、諦めろ。ピアノを弾きたいなら、なぜ他の仕事を選ばなかったんだ?」


「それは……」


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