蜜蜂

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彼女が申し訳なさそうに､うつ向きながらそう言った｡


「…そのごめんて俺をフるためのごめん？」


「違う」


少し睨まれ､俺は体を起こしながら､反対に「ごめん」と言った｡
でも､そうじゃなかったらなんだと言うのだろうか｡
他に謝られることは何もないはずだけど｡


「…千明を傷つけちゃったから､それのごめん」


彼女はゆっくり言い､視線をそらした｡

…ん？

正面から向かい合うように体勢を直す｡


「傷つけたって…いつ？どこで？」


「……千明を前の千明に戻らせちゃったことだよ｡」


ボソボソと言う彼女に､俺は再度首を傾げた｡


「や､別にあれ杏花のせいじゃないし｡
確かにキツかったけど決めたの俺だし｡
全部俺の責任｡」


そう言い笑ってみせる｡
だが彼女の顔は曇ったまま｡


「杏花？」


「それだけじゃないの」


気になって彼女の名前を呼ぶと､すかさず切り返された｡
顔を少し上げた彼女と目線がぶつかる｡
彼女は少し顔を赤らめて､また目線をそらした｡



「…私逃げてたんだよ｡千明から」



今までで一番つらそうな表情をする彼女に､言葉を失った｡



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