恋人以上、恋人未満。
はぁぁ...疲れた。
着替えるのも忘れて直接寮に帰ってきてしまった。
こんな姿で誰かにあったらどうしよう?
「あれ。理沙?」
「しょ...しょっ...翔太!き、奇遇だね」
「いや部屋隣なんだし普通に会うだろ」
そういって可笑しそうに笑う。
「だ、だ、だよねっ♪今日も仕事?」
「あ、あぁ。食事だけだけどな。理沙はおしゃれしてどこ言ってた?」
「あーーーーあたしもお食事みたいな...えへ」
しどろもどろに冷や汗だくだくなあたしに不思議そうな翔太。
そりゃそんな顔にもなるよね!
「理沙って家族でお食事とか行くタイプなんだ。意外」
いきたくて言ってるわけじゃないんですよ。
ってか家族じゃないです...
「部屋、よってくか?」
「あ、うん」
部屋に入るとあんなに大量に作った和食が全部食べられてた。
「飯、マジでうまかった。よかったらまたつくってな」
「いつでも作るよ。あんなのでよかったら♪」
「いやー天才だよお前」
あたしの頭をぽんぽんってする。
久しぶりに...触れた。
...好きだって気持ちがあふれる。
「翔太...」
「.......ん?」
少しかすれた翔太の声に抑えられない気持ちがどんどんあふれる。
「理沙...」
「な...に...?」
次にくる翔太の言葉が怖い。
帰れって突き放す?
同情して優しくする?
恋人ごっこしてた相手に本気でほれて...
今でも忘れられないなんて...馬鹿だよ。