無題
しばらくすると、48歳ぐらいの男が通りかかった

おじいさんは言った
「お前、今、幸せか?」
男は言った
「俺は今、社長だぞ。そんな口聞いていいと思っているのか」

男は通り過ぎていった


少し後ろから女がやってきた

女は少し足を引きずっていた

おじいさんは言った
「お前、今、幸せか?」
女は少し笑って言った
「幸せです」

女は男を追いかけていった


しばらくすると、54歳ぐらいの男が通りかかった

おじいさんは言った
「お前、今、幸せか?」
男は言った
「知るか。今、会社が大変なんだ」

男は通り過ぎていった


しばらくすると、女がやってきた

引きずった足に青白い顔
おじいさんは言った
「お前、今、幸せか?」
女は笑顔で言った
「幸せです。たとえ、もう少ししかそばにいられなくても…」

女は足を引きずりながら男を追いかけていった
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