無題
しばらくすると、60歳ぐらいの老人が通りかかった
目はうつろで、足元はおぼつかなかった
おじいさんは言った
「お前、今、幸せか?」
老人はうつろな目を少し上げたが、今にも倒れそうな足取りで通り過ぎていった
女は来なかった
おじいさんは傍らに置いてあった湯飲みに手を伸ばした
今でも雲一つない青空が広がっている
お茶を一口飲み、ゆっくりと振り向く
部屋には仏壇が置いてあった
その仏壇に飾ってある写真に向かっておじいさんは言った
「お前、今、幸せか?」
写真の中の女が微かにほほえんだ気がした
目はうつろで、足元はおぼつかなかった
おじいさんは言った
「お前、今、幸せか?」
老人はうつろな目を少し上げたが、今にも倒れそうな足取りで通り過ぎていった
女は来なかった
おじいさんは傍らに置いてあった湯飲みに手を伸ばした
今でも雲一つない青空が広がっている
お茶を一口飲み、ゆっくりと振り向く
部屋には仏壇が置いてあった
その仏壇に飾ってある写真に向かっておじいさんは言った
「お前、今、幸せか?」
写真の中の女が微かにほほえんだ気がした
