雪のサクラ
「えっ…やべぇ。もしかして引いた?」
電話越しに伝わる声で焦ってることに気づく。
ソラが面白くてプッと笑いを洩らしてしまった。
『なに笑ってんだよ』
「なんでもないよ〜。たまには甘い言葉もささやいてよ」
『毎日言ってんじゃねか』
「それはツッコミという名以外考えられません」
『…………クソッ』
「愛する彼女に何か言う言葉はありませんか〜?」
ニヤニヤと緩む頬を引き締める。
口にはしないけど
ちゃんと私を好きだと思ってくれてるのは知ってる。
ケンカもするけど上手く口には出せなくて
謝る時に私の大好きな歌手のCDと一緒に
『ごめん。仲直りしてください』
って添えた紙をポストに入れてある不器用な優しさだって知ってる。
でも、態度だけじゃなくて、
たまには彼の気持ちを言葉で伝えてほしい。