氷の壁 -あなたとの距離- 【中編】
side 梓
わたしは自販機で適当にジュースを買って、彼女―高浪さんに渡した。
彼女にはあの場所から離れた少し小さな公園で待っていてもらった。
「はい。オレンジジュースでいいかな?」
「ええ・・・ありがとう」
彼女はそうっと受け取って、プルトップを開けた。
わたしも同じオレンジジュースを飲む。
「あ、あの・・・さっきはごめんね・・・。急にカッとなっちゃって・・・」
わたしは怒ると周りが見えなくなるタチ。
今回のは高浪さんが止めてくれなかったら本当にヤバかったかも・・・。
「いいのよ。・・・それに、嬉しかったわ」
「え?嬉しかった・・・?」
「私の為に怒ってくれる人なんていないもの。あと・・・」
「あと?」
「友達だって、言った」
「・・・あっ!!」