氷の壁 -あなたとの距離- 【中編】
天音の過去
5年前の私はあなたみたいに明るくて、
自分で言うのもあれだけど人気があったと思うわ。
あの日はお母さんのお姉さんの子供―つまりはイトコのセイジお兄ちゃんが遊びにきてた。
お母さんたちは買い物に出掛けて行って、
私の家でお兄ちゃんと二人きり。
いつも通り遊んで、その時私はまだ10歳だったから、家の近くの公園にいた。
するとお兄ちゃんが“もっとおもしろいとこ行かない?”って言ったの。
・・・するとお兄ちゃんの友達の家に連れられて。
私は少し人見知りだったから、怖くなかったといえばウソになる。
でも、三人で普通に遊んでた。
その人は優しかったし、私の人見知りだってすぐに解いてくれた。